雪椿姫の妄想劇場 戦国IXAの巻

雪椿姫の妄想劇場」とは・・・ 妄想癖のある私、リアル雪椿姫がIXAをしながら沸々と湧いてくる妄想をライトノベル風の文章にしたものです。 戦国合戦が舞台ですが、妄想なので史実をネタに様々なイマジネーションが展開されます。中には現代にタイムスリップしたり、カルチャーギャップがテーマだったり、ちょっとした人生哲学的な考察もあったりして。盛りだくさんの内容です。  ま、百聞は一見にしかずと申します。まずはご覧あれ~・・・・!!! 

雪椿姫の妄想劇場 

   第1話 雪椿姫の復活 その1

 

・・・めよ。・・姫よ。・・雪椿姫よ。

 誰?私を呼ぶのは。私は呼ばれる値打ちなどない女。大切な城も兵士も全て失った城主だった者。

  雪椿姫よ、いつまでもそうして泣いて暮らすのか。

 そ、その声は・・・謙信公様?

  そうだ。私だ。越後の国の国守であり、そなたの名付け親、上杉謙信

 お姿が見えませぬが。

  我が身は春日山城にある。今は心で思いを伝えているのだ。

 謙信公様、雪椿は御名を汚してしまいました。その上、大切な将兵と城を全て失ってしまったのです。お詫びのしようもございません。

  雪椿姫よ。そなたは何をしたいのだ。

 この戦で身命を賭して戦った者達、生まれ育った城、皆彼岸の彼方に行ってしまいました。生きて行く標が見えないのです。

  それで、己が命を絶って冥土で詫びようというのか。

 ・・・・

  そうすることが身命を投げ打ってそなたと雪椿の国を守ろうとした者達に報いることになると思うのか?

  でも、私には何もないのです。兵も城も田畑も・・・。

  本当に何もないか?

 ・・?

                               続く

第一話 その2

雪椿姫よ。目を閉じて掌を胸に当ててみよ。

 ・・はい。

  なにが感じられる?

 ・・・私の息遣いと心の臓の鼓動が・・・。

  それに暖かい血潮も流れておる。

 はい。

  そなたは何もないと言ったが、そこにあるのは何だ?

 い・の・ち?

  そうだ命だ。そなたには命があるではないか。これから生きて行けるのではないのか。

 しかし、どう生きて行けばよいのか。

  もう一度目を閉じて心の耳を澄ましてみよ。

 ・・・

 <姫様。お姿を見せてくだされ。

 <姫様。早くお元気になられますように。

 <姫様~また桜の花の下でお歌を歌ってください。

 ・・・あれは、私の国の民。

  そうだ、雪椿の国の民たちだ。皆そなたの帰りを待ち望んでいる。それにもう少し遠くからも声が聞こえては来ないか?

 <雪椿姫。元気出せよ-。

 <雪椿姫。今度はリベンジだ!

 <ユキ。また踊りを踊ってよ。

 ・・・あれは◆龍虎天翔◆同盟の先輩達。

  同盟の仲間たちだな。良き師と友は人生の宝だ。私にも宇佐美定満という懐刀がいる。景勝には直江兼続という逸材が付いている。

  雪椿姫よ。何もないなどと言ってはいけない。そなたには命も雪椿の国の民も信頼できる同盟の仲間たちもあるのだ。

            続く

第一話 その3

謙信公様・・・。

 よいか雪椿姫。城はまた作ればよい。田畑はまた耕せば蘇る。だが人は得難い。特に武士は武家に産まれただけでは武士ではない。己を律し、研鑽し、良き師と友に恵まれ、人の心を知り、思いやりの心で接しなければ国を治めることも人の上に立つこともかなわぬであろう。

 道は長く厳しいぞ。その道を迷わず進むことがそなたの定めではないのか。

  はい、解りました謙信公様。雪椿は道が見えました。なすべきことが山ほどあるのですね。もう泣きませぬ。前だけを見て歩いて行きます。

 それでよい。私はそなたのその輝く瞳と花のような笑顔が好きなのだ。

  お導き下さいましてありがとうございます。謙信公様。きっとこの雪椿の国を美しく咲かせて見せます。そして、いつか謙信公の元に参ります。

 

 気がつけばいつの間にか東の空が菫色に輝き始めていた。

 

                    完

 

 雪椿姫の妄想劇場にお付き合い頂きありがとうございました。

  私が駆け出しのころ初陣で大敗したときに沸いた妄想をライトノベルに書きました。。ちょっとドラクエのワンシーン風になっちゃいましたけど。ご感想をレスや書状でいただけると嬉しいです。

 

                                かしこ